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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

だから森山さんは、自分の家の先祖の話や、家庭の事情などについても、別段隠すようなことはなく、心安く語るのであった。ある夕、一杯やりはじめたとき森山さんは、いつもとは変わって言いにくそうに、言おうか言うまいか、という態度で語り出すのである。

『あなたに、一つお願いがあるのですけれど――』

『何でもおっしゃってください、私にできることでしたらやりますから』

『ほかでもないのですが、実は私には縁遠い妹が一人ありまして、それにいつも悩んでいるのです』

『そうですか、お幾つになります』

森山さんは、今年三十九歳であると聞いていたから、その妹であったなら縁遠いといったところで、二十七、八歳から三十五、六歳どまりの婦人であろう、と私は想像した。

『三十四歳です』

『では、えらいお婆さんという訳でもないじゃありませんか』

『いや、田舎では二十三、四歳を過ぎてもお嫁に行けないと、何とかかんとか噂を立てられるのでしてね。それに、母もあの年波の上にからだが弱いものですから、妹の身が片づかないのを明けても暮れても心配しているのです。それを見たり、聞いたりするのが私は何より辛い』

『どこか、ちょうどいいところがありそうなものですね』