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Japanische Klassiker mit Furigana

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たぬきじる

完本 たぬき汁

佐藤 垢石

Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme

Aozora Bunko

話はこの辺で打ちきって寝ることにした。そして、私は床へ入ってから考えた。森山さんの底なしの近眼、にきびの抓み跡というのでもなければ、毛穴が膨らんでいるという訳でもない。ただ顔にぶつぶつと小さい窪みが無数にあって色が黒い。その上に、上背が五尺あるかなしかの、幅広の体格から想像すると、もし兄さんに似ている妹さんであったなら、女として美しい出来ではないかも知れないと思った。しかし、世の言葉に、

――容貌は、吊り合わぬ方が仲がいい――

という話があるから、女としては最高学府を出ていることだし、ことによったら骨折り甲斐があるかも知れない。こんな風にも思ったのである。

三

鯛が鈎に掛かって、死にもの狂いに海底で糸を引きまわす力の味は忘れられない。殊に淡紅の色鮮やかに、牡丹の花弁をならべたような鱗の艶は、友人に贈っていつも絶讃を博すのだ。

その趣に惹きつけられて、十日ばかり過ぎてから、また外房州の浜へきた。

森山さんの家では、私を喜び迎えた。その日、一日海上を釣りまわって夕方帰ってくると、森山さんは晩飯のとき、

『届きました。私に似て、とてもまずい女です』