Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
蛇だ蛇だ。蛇は鎌首に楕円の波を打たせて持ちあげるが、なかなか斜酣の手まで鎌首が到達しない。私らは、何の目的があって蛇を捕えたのだろう、と考えて斜酣の側へ駈けつけた。
すると斜酣は蛇の首を靴の踵で踏み砕いておいて、直ぐ蛇の皮を剥いでしまった。砥石の粉色の斑点を全身に艶々と飾っていた山かがしは、俄に桃色の半透明な肉の棒と化してしまったのである。
斜酣、貴公は鮮やかな腕前を持っているの。私らは驚いて斜酣の器用な手先を見ている。
彼は徐ろにポケットから洋刀を取り出し、件の肉の棒を骨ぐるみ、輪切りに五つ切りばかりに切り離した。そして、その蛇の輪切りを二尺ばかりの細い篠の棒にさして、私ら銘々に持たせたのである。そこで斜酣が説明するに、一体地蜂の親を誘惑するには生きている動物の肉でなければいけないのだが、就中赤蛙の活肉が歓迎される。だが、蛙はもう土の底へ潜ってしまったものか、きょうは見つからない。やむを得ず代用品として、山かがしをとっちめた訳だ。
これからいよいよ、地蜂の巣を捜しに行く段取りとなるのだけれど、ここで一応諸君に承知していて貰いたいことがある。そもそも地蜂の巣を捜すにはまず親蜂の散歩しているところを発見しなければならない。