Japanische Klassiker mit Furigana
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たぬきじる
完本 たぬき汁
佐藤 垢石
Lesen Sie 完本 たぬき汁 (たぬきじる) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.158 Zeichen · 273 Bildschirme
その醇醪なること知るべし。いま時は一合の価むかしの一升に過ぎたれど、火を投ずれば直ちに滅すること水に異ならず。外祖父三木正啓翁(寛政年中御先手加役火附盗賊改役を勤めて有名なりし長谷川平蔵の弟なり)予が家に来りて環るる毎に外祖母に語られたるは、婿殿の家に至り酒を飲楽しけれど、その気烈にして鼻を衝き、眼を薫ずるに困ると申されたりと。と、書いてある。
三
江戸末期になると、酒の質が次第に悪くなったようである。気烈にして鼻を衝き、眼を薫ずるには閉口する、とこぼした類の酒が市中を横行したに違いない。
やはり、文政頃の酒価と酒の質について『異聞雑考』の記すところでは――味噌は甲午の夏五月より、金一両二十貫四百目になりぬ。諸物の貴きこと此ときに極れり。酒は一升三百三十二文より下価の物なし。それも水を加味しぬるより、味ひ水くさく酔はずといふ。多く飲む者は必ず下痢す。升売酒屋は各紙牌を張り出し、酒高価に付はかり切に仕候。入れ物御持参下さるべく候、と記したり。この余、薪炭紙絹布の類、魚肉野菜に至るまで、日用の物はひとつも下値なるはなし。悉く記するに遑あらず。