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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうせつ ほととぎす

小説 不如帰 

徳冨 蘆花

Lesen Sie 小説 不如帰 (しょうせつ ほととぎす) von 徳冨 蘆花 (とくとみろか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.742 Zeichen · 256 Bildschirme

Aozora Bunko

死はあるいは自由なるべし。この病をいだいて世に苦しまんより、魂魄となりて良人に添うはまさらずや。良人は今黄海にあり。よしはるかなりとも、この水も黄海に通えるなり。さらば身はこの海の泡と消えて、魂は良人のそばに行かん。

武男が書をばしっかとふところに収め、風に乱るる鬢かき上げて、浪子は立ち上がりぬ。

風は々として無辺の天より落とし来たり、かろうじて浪子は立ちぬ。目を上ぐれば、雲は雲と相追うて空を奔り、海は目の届く限り一面に波と泡とまっ白に煮えかえりつ。湾を隔つる桜山は悲鳴してたてがみのごとく松を振るう。風吼え、海哮り、山も鳴りて、浩々の音天地に満ちぬ。

今なり、今なり、今こそこの玉の緒は絶ゆる時なれ。導きたまえ、母。許したまえ、父。十九年の夢は、今こそ――。

襟引き合わせ、履物をぬぎすてつつ、浪子は今打ち寄せし浪の岩に砕けて白泡沸るあたりを目がけて、身をおどらす。

その時、あと背後に叫ぶ声して、浪子はたちまち抱き止められつ。

五の一

「ばあや。お茶を入れるようにしてお置き。もうあの方がいらっしゃる時分ですよ」

かく言いつつ浪子はおもむろに幾を顧みたり。