Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
彼女はその目に、馬を曳いて路傍に避けている敬二郎らだけを捉えて、茶屋の軒下に避けて開墾地の人たちの中に交じっている正勝の姿には気がつかなかった。
「おっ! 紀久ちゃん!」
敬二郎は驚きの目を瞠りながら、馬を曳いて馬車のほうへ寄っていった。
「わたしの帰るのが分かったの?」
「こんなに早く帰るとは思わなかったんだが……」
「迎えに来てくれたの? ありがとう。では、帰りましょうか?」
紀久子は微笑をもって言った。そして、紀久子の馬車は沈黙を割って、ふたたびがらがらと動きだした。敬二郎は平吾と松吉とに目配せをした。そして、三人はひらりと馬に跨った。
「紀久ちゃん!」
正勝は叫びながら、茶屋の軒下を飛び出していった。
「あらっ、正勝ちゃんも……」
紀久子は驚きの微笑を含んで、振り返った。
「おれをその横へ乗せてくれ」
正勝はそう言いながら、動いている馬車に飛び乗って紀久子と並んで腰を下ろした。そして、馬車は二人を乗せて駆けた。その後から敬二郎と松吉と平吾の三匹の馬が、蹄鉄をぽかぽか鳴らしながらついていった。
3
開墾地の人たちは急転した空気の中で、呆気に取られたようにして馬車を見送った。