Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
そこへ、紀久子の馬が歩度を緩めながら追いついてきた。
「正勝ちゃん! 何か用だったの?」
紀久子は息を弾ませながら、馴れなれしく言った。
「紀久ちゃん! 敬二郎の奴と話なんかするのよせよ」
正勝は微笑を含んで、しかし睨むようにしながら言った。
「なんでもないのよ」
「あいつが散歩に誘ったって、一緒に散歩なんかするのよせよ」
「それでも、急に冷淡にするわけにはいかないのよ。あの人もお父さんが生きていれば、わたしと結婚するはずの人でしょう。急に空々しくするわけにはいかないのよ」
「しかし、そんなことを考えているうちに、あんたの気持ちの中へ深く入り込んできたらどうする?」
「大丈夫よ。黙って見ていてちょうだい。わたし、正勝ちゃんの言うことはなんでも聞くつもりよ。しかし、あの人の言うことは何から何まで聞いちゃいないわ。自分の気持ちの中に線を引いておいて、そこから中へは絶対に入れないつもりよ。そして、正勝ちゃんの言うことには絶対に線を引かないわ。黙って見ていてくれたら分かると思うわ」
「それならいいがね」
「わたしを疑ったりしちゃ駄目よ。わたし、とてもよく考えているんだから。