Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
そして、あの人がしぜんとわたしから離れていくようにするわ。わたしからばかりでなく、この牧場にもなんとなくこう、いられないようにしてやるわ。それまでは、正勝ちゃんは黙って見ていてね」
「しかし、あいつはなんとなく癪に障る奴だからなあ」
「そんなことじゃ駄目だわ。いやな奴なら、それにつけても表面ではよくしてやらないといけないのよ。わたしがあの人と話をしたり一緒に散歩したりするのは、わたしからあの人を遠ざけるためなのだから疑わないでね。わたし、正勝ちゃんの言うことなら、本当になんでも聞くのよ。しかし、あの人の言うことは決して聞かないから。表面ではいやな顔をしないでいて、そして言うことだけは聞かないつもりなの」
「考えたもんだね」
「分かったでしょう? 疑っちゃいやよ。わたしは考えて考えて、考え抜いているんだから」
「しかし、あいつの顔を見ると、何かこう癪に障るね。いやな気持ちを一掃するように、これからひとつ吾助茶屋へでも行ってくるかなあ?」
「それがいいわ。それで、お金はあるの?」
「ないんだよ」
「少しきり持ってきてないのよ」
紀久子はそう言って微笑を含みながら、服のポケットから蟇口を取り出して正勝に渡した。