Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
最初は自分で便所へ立っていたのが、それさえできなくなってきた。鶴代がそれをいちいち始末しなければならなかった。
「お鶴! 済まねえ、済まねえ」
吾平爺はそう言っては呻りつづけていた。
「済まねえったって、どうにもならねえよう」
鶴代は励ますという気持ちからではなく、目を瞑るような気持ちで言うのだった。
「父ちゃん! なんとかして医者を呼ぼうかね? なんならだれかに頼んで、いっそのこと避病院にでも入るようにしてもらったらどんなものかね?」
「おれ、苦しくて苦しくて、避病院にもなにも行かれねえわ。それより、水を一杯飲ませてくんろ」
父親の吾平爺はそう言って、呻りつづけるのだった。
ちょうど、父親の吾平爺がそうして苦しんでいる最中だった。鶴代にひどい腹痛が来た。陣痛であった。
「父ちゃん! おれも腹が痛くなってきたよう。あう、痛くなってきたよう。父ちゃんのが伝染したのかもしんねえよう」
しかし、爺は呻っていてなにも答えなかった。
「父ちゃん! 痛いよう。あう、痛いよう」
彼女は叫びながら、のたうち回った。彼女はそのうちに目が昏んできた。そして意識が判然としなくなってきた。