Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
何か深い深いところへ落ちていくような気がした。
「こっちへ来う! こっちへ来う!」
遠くの遠くから、そんな声がするような気がした。しかし、彼女はそれから間もなく、なにも分からなくなった
鶴代が深い眠りから覚めたのは、その翌朝だった。足のほうに赤ん坊がしきりに泣いていた。そのためか、父親の呻り声は聞こえなかった。赤ん坊のほうへ近寄ろうとしたが、それもできなかった。
「父ちゃん!」
できるだけ大きい声でそう父親のほうへ声をかけようとしたが、腹に力がなくて、声は出なかった。
鶴代は仕方なくじっとしていた。そして父親の呻り声を聞こうとした。しかし赤ん坊の泣き声がうるさいだけだった。その泣き声をただうるさいうるさいと思っているうちに、彼女はまたうつらうつらとしてきた。
彼女が父親の死んでいるのを発見したのは、その翌日だった。しかし、彼女はまだ起きて戸外へ出ていくことはできなかった。それに、彼女の家はただ一軒、藪の中にあった。そして、彼女の家からいちばん近い農家まで行くのに、三、四町(一町は約一〇九メートル)はあった。
彼女が父親の死んでいるのを、自分の家からいちばん近いその農家まで知らせに行ったのは、それから三、四日も経ってからのことであった。