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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

けれども、彼女はやっぱり出かけなければならなかった。

彼女は三時の音を聞いて、急いで朝田邸の門を出た。門を出たばかりのとき、背後で自動車の音がした。自動車が急停車をしたのだった。それには主人の朝田が乗っていた。

「松島さん、あんたの家は工場へ行く途中じゃったね。どうせ通りがかりじゃから、さあここへ乗っていきなさい」

朝田は窓から首を出して言った。

「…………」

彼女は微笑みながらお辞儀をしただけで躊躇した。

「なにも遠慮はいらんのだ。どうせ通りがかりじゃから、さあ遠慮することはないんだから」

「…………」

彼女はまたお辞儀をした。

「さあ、構わんからここへ乗んなさい」

「では、失礼でございますけど……」

彼女はまず自分の赤ん坊のために喜んだ。かつて自分の夫が、彼らは血も涙も持たない資財の傀儡だ! と罵倒した言葉はまったく反対な作用で彼女に働きかけていた。彼女は血も涙もある人間の前に、小さな感謝の塊になっていた。

「松島さん、あなたは、失礼な言い分かもしれないが、ひどく困っていやしないかね?」

「…………」

彼女は頷くようにお辞儀をした。

自動車は白い土埃を上げ、乾燥し切った秋の空気を切って日照りの街中を走った。