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Japanische Klassiker mit Furigana

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きょうふじょう

恐怖城 他5編

佐左木 俊郎

Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme

Aozora Bunko

「でも、わたし急いでいるのでございますから」

しかし、自動車は彼女の言葉には耳も傾けずに、人通りの少ない河岸の大道路を折れて疾走しつづけた。彼女は気が気でなくなった。熱を出している赤ん坊のことが心配で心配でたまらないのだ。しかし、それは秘密を要することだと彼女は考えた。熱を出している子供の傍から通うことが、彼らの衛生観念の許すべきところでないと思ったからだった。

「その築港の技師のことで思い出したのだが、松島さん、あんたはその人と結婚をする気はないかね? あんたがそれを承知してくれりゃ、それでセメントの調査のほうはもう問題なしじゃがなあ! 無検査で採用されるんだが!」

彼女はまた、夫が彼らを罵倒していた言葉を思い出した。恥も人情も知らない資財の傀儡! そのとおりだと彼女は思った。自分の取引きのために、他人を人身御供にするようなものではないか? そんなことを思って彼女は無理にも自動車を降りようかと考えた。

「とにかく、どうだね? その男に会って話してみる気はないかね? ついでだから」

「せっかくでございますけど、今日は急いでおりますからこのまま失礼させていただきます」