Japanische Klassiker mit Furigana
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きょうふじょう
恐怖城 他5編
佐左木 俊郎
Lesen Sie 恐怖城 他5編 (きょうふじょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 143.735 Zeichen · 290 Bildschirme
陽がその上にぎらぎらと映った。
市街地の駐在巡査が黒土の庭へ駄馬を乗り入れて、コンクリートの露台の近くに寄ってきた。牧夫たちは露台のところに立って巡査を迎えた。巡査は馬の上から牧夫たちに言った。
「蔦代っていう娘は主人たちの部屋へ、どこから入ったらしいか分からねえかね?」
「入ったのはこの階段を上って、ここから……」
牧夫の一人が前へ出ながら言った。
「足跡か何か残っていないかな?」
「なにしろ、おれらが鉄砲の音を聞きつけて土足でもってどかどかと駆け込んだもんだから、どれがだれの足跡だか、はあもう、てんで分かんなくなってしまって……」
正勝が巡査の顔を見上げながら言った。
「それで、お嬢さんはどこにいるんだね?」
「お嬢さまは中にいますから……」
正勝はそう言って、巡査の乗っている馬の轡を捉えた。巡査は手綱を放って、馬から下りた。そして、長靴のままで露台へ上がっていった。
「それから済まねえが、その馬に飼葉をやっておいてくれねえかなあ。近所の馬を借りてきたんだから……」
巡査は露台の上から、思い出したようにして言った。
「はあ!」
正勝はそう言いながらその馬を牧夫の一人に渡すと、露台に駆け上がって巡査と一緒に部屋の中に入った。