Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくまのかお

悪魔の顔

野村 胡堂

Lesen Sie 悪魔の顔 (あくまのかお) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.677 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

「そんな事は判らない」

「…………」

再び恐ろしい沈黙が一座を支配しました。斯うなると反って後ろめたいような気がして、今更帰ることも脱けることも出来ません。

それから又三十分ばかり経ちました。

「到頭いけなかったそうだ」

「エ?」

「あの通り肥って居たから、心臓麻痺を起して亡くなったそうだ――」

主人の死んだ噂が、何処からともなく客間へ伝わります。千種十次郎は廊下を通る老執事を捉まえて訊くと、

「ハイ、お気の毒なことで御座います」

頑固そうな老執事は、言葉少なに眼をしばたくばかりです。

石井馨之助氏が毒死したと聞いては、酒井博士の口止めがあったところで、新聞記者が黙って居るわけに行きません。千種は早速玄関へ行って、新聞社へ電話をかけ、宿直の者に此大特種を報告した上、応援を二人ばかり至急頼みます。

「オーライ、兄貴しっかりしろ、今俺が飛んで行くぞッ」

足の勇こと、早坂勇のハチ切れそうな声がどんなに千種を心強くさせたことでしょう。

客間へ引っ返して来ると、踏み止った客は一と塊りになって囁いて居ります。

「お嬢さんが怪しいそうだ」

と言うのは、消息通らしい芦名兵三郎の声です。