Japanische Klassiker mit Furigana
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あくまのかお
悪魔の顔
野村 胡堂
Lesen Sie 悪魔の顔 (あくまのかお) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.677 Zeichen · 29 Bildschirme
「サア、落付いて、もう少し詳しく話して御覧なさい」
十次郎は娘の華奢な肩に手を掛けて、その脅え切った眼を凝っと見入りました。かなり以前から知って居るこの内気な淋しい、けれども限りなく純潔な感じのする娘が、どう間違ったところで父親を殺す筈もありません。美保子は次第に十次郎の眼の中から自分に対する信頼を読むと、
「お父様は死んでしまいました。だけど、私は何んにも知らないんです。千種さん、怖い」
二階の寝室の扉を開けて、誰やら階段を降りて来る様子です。
「サア、早く、聴きましょう、落付いてその次を話して下さい」
「どんな事があっても、私を信じて下さい、千種さん、疑いはみんな私へかかるようになって居るんです」
「で――?」
「万一の事があったら、姉へ知らせて下さい、――あッ誰か来る、――姉は竹屋――マネキン――」
美保子の言葉は此処で尽きました。追いすがるように階段を降りて来た警官の一人は、娘の肩へ手を掛けて、
「サッ、もう一度来て下さい、聞く事がある」
冷たい、鉄のような言葉の下に、美保子の身体はヘタヘタと廊下の絨毯の上へ、崩れた花片のように座り込んでしまいました。