Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あくまのかお

悪魔の顔

野村 胡堂

Lesen Sie 悪魔の顔 (あくまのかお) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.677 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

「ワーッ」

という重く鈍い大合唱が、恐ろしい金切声の悲鳴を交えて、暫らく続きます。

刑事が来る、医者が来る、群集を追い出して、手負のマネキンを介抱したのが、十分も経ってからの事でした。傷は幔幕越しに、真後から心臓を一と突に刺したもので、全く助かりようはありません。係官が来て調べを始めたのは、それから又一時間ばかり後の事でした。

婚礼道具陳列場の後ろは、幔幕を張って臨時の通路にして居たので、誰が通ったかわかりません。それにマネキンの顔を見せる時間は、群集は皆んな前へ廻って、幕の後は空っぽになってしまいますから、どんな人間がやったか、誰も見て居た者が無かったのです。兎に角、羅物一枚の花嫁姿と言っても、幕を隔てて背後から心臓部を一と突にやったのですから、腕は余程冴えて居なければなりません。

刺した得物は、外国出来の鋭利な短刀で、鑑定家に言わせると、コルシカあたりで出来たものだろうと言うことです。

「石井家の関係者だ」

遺産引渡の訴訟が噂に上った頃だったので、世間では直ぐそう言いました。世間で気が付く位ですから、当局も専らその方針で、いろいろ調査の歩を進めて行きましたが、サテわかりません。