Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうろうき(しょしゅつ)
放浪記(初出)
林 芙美子
Lesen Sie 放浪記(初出) (ほうろうき(しょしゅつ)) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.349 Zeichen · 207 Bildschirme
大船に乗ったつもりでいらっしゃい。」
二人は、でもおのおのの淋しさを噛み殺していた。
「何だか心細くなって来たね。」
時ちゃんは淋しそうに涙ぐんでいた。
「もうこれッ位でいゝだろう、俺達も仕事しなくちゃいけないから。」
十時頃だ、星がチカチカ光っていた。
十三屋の櫛屋のところで、自動車を止めてもらうと、時ちゃんと私は、小さい財布を出しあった。
「街中乗っけてもらったんだから、いくらかあげなきゃあ……。」
吉さんは、私達の前に汚れた手を出すと、
「馬鹿! 今日のは俺のセンベツだよ。」
吉さんの笑い声が大きかったので、櫛屋の人達もビックリしてこっちを見ていた。
「じゃ何か食べましょう、私の心がすまないから。」
私は二人を連れると、広小路のお汁粉屋にはいった。吉さんは甘いもの好きだから。
――ホラお汁粉一杯上ったよ!
――ホラも一ツあとから上ったよ!
お爺さんのトンキョウな有名な呼び声にも今の淋しい二人には笑えなかった。
「吉さん! 元気でいてね。」
時ちゃんは吉さんの鳥打ち帽子の内側をクンクンかぎながら、子供っぽく目をキロキロさせていた。
歩いて本郷の酒屋へ帰えった時は、もう十二時近かゝった。