Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
「おやんなすったね、お髯さん……。さあ、やるなら来いっ」
「うごくな、黒ンぼ」
「オオ、二丁斧が見えねえのか。ふん、知らねえな、俺を」
「くそっ。もう生かしてはおかねえぞ」
だが朱同は刑囚の身だった。身に一剣も帯びてはいない。しかるに相手は手練れの二丁斧だ。李逵は充分見すかしている。
ところがその李逵もだんだん持て余した。斧は空振りに空振りをかさね、朱同の姿は飛電の光にことならない。なにせい州随一の捕手頭、乱捕りの達人なのだ。むしろ空手が得意であったとみえる。
「こいつはいけねえ」
李逵は逃げ出した。逃げはじめるやこの男廉恥もない。山坂また山坂をころげ降りた。すると蒼々たる松の林が十里もつづく。松風が耳を洗う。
「はて、どこへ失せたか」
朱同は追いに追った。どうせおめおめ空身では長官邸へは帰り難い身でもある。いつか夜が明けかけ、チチチチと鳥の音はしていたが心にも耳にも入らない。そして彼の血眼はふと奔る鹿のごとき影を見た。李逵だったのだ。ところがそれは村道へ出て彼方のすばらしい土豪の門内へ馳け込んでしまった。いぶかしいとは思ったが、朱同もつづいてその豪勢な大門の内へ、盲目的に、