Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
そっとスレ違おうとしたのである。だが、あいにくな山坂である。ばしゃッと桶のうちから少し揺りこぼしたからたまらない。魯智深はぐらっと目眩にくるまれて。
「おッと、と、と、と。……こら待て酒屋、どうも貴様は不量見なやつだな。なぜこぼす」
「ど、どうかご勘弁のほどを。……お法衣でも穢しましたか」
「うんにゃ、さに非ず。穢されたいのだ。その桶の酒をわが輩に売れい」
「めッそうもない。沙門のお方に酒を売るのは御本山の法度なんで、そんなことしたら、てまえはこの土地に住めなくなります」
「かまわん。もう我慢ならぬ」
「かまわんたって、こっちには妻子もおりまする。お売りするわけにゆきません」
「えい、七面倒な」
「あ痛ッ」
軽くやったつもりだが、酒屋男は天秤棒から肩をはずして、もんどり打ッた。
一荷は倒れ、一荷は無事だった。――智深はあわてて倒れた桶から先に救いあげ、また一方も持って、軽いのと重い桶とを、両手に引ッ提げたまま彼方の見晴し台の亭へ走りこんだ。
「ほうれ、値はとらすぞ」
何を投げたのか、腰をさすッている酒屋男のほうへ、物代をほうるが早いか、彼はもう桶のフタをとっていた。