Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
「むむ、今となっては、思い出すのも辛くなる」
「もうウロ覚えになってしまいましたが、たしか立派な櫃に入っていたようでしたが」
「羊皮の紅い革櫃だ。縁は雷紋の金箔押し、四方の横にもまた精巧な彩画で、牡丹の花に、毬遊びの獅子がえがいてある……」
「えっ。紅皮に獅子のもようですッて」
「隆さん。なんだって、そんな眼をするんだ」
「だ、だって。この眼を疑わずにゃいられません。ついゆうべ、見たばかりなんで」
「げッ、見た※(感嘆符疑問符、1-8-78) どこで見たのか」
「城外四十里ほどの村の居酒屋でしたっけ。……痩せッぽちの、眼の玉のするどい野郎が、のそっと入って来て、そいつもてまえのいた床几の向う側で、オイ大急ぎで、酒と飯をくれと、せかせか呶鳴っていたんでさ」
「ふむ! そして?」
「見ると、その野郎が、いまいった通りな櫃を側へおいて、後生大事に片肱を乗ッけています。はてな? 風態にも似合わねえ立派な物を……と、ついジロジロ見てたもんですから、奴も気がさしたか、酒も飯もがつがつすまして、すぐ街道を東の方へ急いで行ってしまいましたよ」
「それだ! 隆さん。東へ行ったか」
「それとすりゃあ、しめたもンだ。