Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
妻の急病と称えて、賜暇はいただいたものの、禁軍への届けもあれきり……。こりゃどうしたものだろうな」
「ま、寧さん。そうご落胆にゃ及びますまいぜ。下手人のホシはついてることだし」
「けれど、こう何度も、鼻ッ先を掠めながら捕り逃がしているようではな」
「こっちも息が切れるが、逃げる野郎の方だって懸命にちがいねえ。ここが辛抱のしどころ。もう一ト息ってえところでさ」
すでに道は山東に入っており、冬の日も薄れだすと、楊柳の並木影は蕭条と肌寒く、街道百里、人影を見ることも稀れ……。
「や、や、やっ? 寧さん、寧さん。体を伏せて隠れなせえ」
「な、なんだ。どうして?」
「野郎がいます。あんな所に」
「げっ、いるって」
「ほれ、街道沿いのひだり側。松林があって、チラと古廟の門が見えるでしょ」
「むむ見える」
「よくごらんなせえ。どうも夕陽のせいで眩しくッていけねえが、廟門の石段に腰をかけ、野郎が朱い櫃をそばにおいて、休んでいる風じゃござんせんか」
「おッ、しめた……」
なんの猶予があろう、もう徐寧はそれへ向ってすッとんでいた。湯隆もあとから一目散に馳けまろぶ。すでに先の徐寧は、ばッと、逃げかけた痩せ男の襟がみをつかんでいた。