Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
衛兵の見える公邸の門を入ると、林冲を伴った迎えの者は、
「あれなる中門を通って、東の殿廊を進んでいかれい。そこの階に、召次の者か副官がお越しを待っておいでになろう」
教えられるまま、彼は奥へ進んだ。けれどそこには誰も立ち迎えていない。
「はてな?」
振り返ると、彼方で見知らぬ衛兵が、黙って、北廊を指さしている。さては教え違いか聞き違いかと、北へ進むとまた一門があった。すでに禁苑の一劃とおぼしく、美々しい軍装の近衛兵が戟を持って佇立していたが、林冲を見ると、唖のごとく黙礼した。禁軍師範の林冲も、まだかつて、こんなところまでは来たこともない。
だが弱った。いったいどこを訪うたらよいのか。壮麗なる一閣の階を上って、内を窺うと、さらに中庭が見え、彼方に緑欄をめぐらした一堂があるのみだった。
「……あれかな? なにやら人の気配もするが」
橋廊を渡って、一房の珠簾内をそっと覗いてみた。すると、正面の欄間の額に、墨の香も濃く読まれたのは、
白虎節堂
とある四大字。林冲はぎょッと、立ち竦んで、
「や。これはいかん。節堂は軍の機密を議するところで、枢機に参ずる高官のほか立入りならぬところと聞いておる。