Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
「む、む」
「ところが、宿屋の王のおやじは、夏の初めごろから、病気で寝こんでしまッたし、若い雇人たちも、字盲ばかりときていやがる。……そんなとこへ、ちょうど安楽村の賭場で、すっからかんになったあっしが、銭無しだったが、ままよと思って、泊りこんだものだ。……よござんすか。さア立つ日となったが、払いはできねえや。そこでふてぶてしく腹を割って、またの日に来て払うぜ、てえと、機嫌よく二つ返事さ。おかみが出てきて、その代りに、半月ばかり帳場の帳付けをしてくださいませんか。そのうちには、亭主も起きられましょうからという相談。物好きたア思ったが、面白半分、つい二十日ほど、安宿の手代になって、泊り客の送り迎えをやっていたんでございますよ」
「へえ、おめえがねえ」
「するッてえと、忘れもしねえ、あれは七月に入ったばかりのこと」
「え。七月三日?」
「そうです。七人の棗売りが七輛の江州車(手押し車)を揃えて、ぞろぞろと、夕方の店さきに草鞋を脱いだじゃございませんか」
「…………」
何濤の喉の肉が、ごくと鳴った。
「――あっと、あっしゃあ、とたんにその中の一人に眼をみはった。いや、眼のやりばを反らして、いっそう旅籠の手代らしく、気をつけましたよ。