Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
「さあ……枕も二つ、こう鴛鴦に並べておきますからね。娘や。まあおまえも、いつまでそんなに拗ねているのさ。夜が明けてしまうじゃないか。可愛い殿御をお床へ寝せて、もすこし色ようしてお上げなねえ」
遊廓にむかし遣手婆というものがあった。まさにそんな呼吸をよくのみこんでいる閻婆のしぐさ。宋江は居るに苦しく帰るに帰れず、ただ理性と凡情と、そして瞋恚の炎に、てんめんたるまま、妖しき老猫と美猫の魔力に、現をなぶられているのみだった。
「ね、だんな、お気色を直して、もうお寝みなさいましてはいかがですえ。娘や、おまえも、たんまりと愉しみなよ。そして朝になってごらん。女ってえものは、すっかり気鬱ぎ病なんか癒ってしまっているものさね。……ほほほ」
二つの灯りのうち、小さい寝室の蘭燈だけを残して、閻婆はふッと灯を吹き消し、やがてコトコト階下へ沈んでしまった。
あとの二階部屋は、青白い湖になった。窓から映す残月が町屋根を黒々浮かしている。初夏ながら肌さむい。星が飛ぶのがスーと見えた。
悪酔いしたにちがいない。ころして飲んだ酒がツーンと宋江のこめかみに疼く。――宋江はふと思った。