Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
軽く撲ッたつもりだったが、なにしろ武松の掌のひらである。亭主は顔をかかえながら、横ッ飛びに、彼方の四人の卓へぶつかって、ひッくりかえった。
怒ったのは、卓の主人役をしていた紅帽青襟の少年郎だった。ぬっと立って、
「君。戸外へ出給え」
「よしっ、出てやる」
躍り出た二人はすでに、二羽の闘鶏が、逆羽を立てて、戦意を研ぎ合う姿だった。
「――行者。出家ハ瞋ルベカラズ、マタ、貪欲ナルベカラズ――とか聞いてるが」
「洒落くせえ、うぬはこの村の青二才か」
「大きなお世話だ。察するところ、きさまは出家の道も恥も知らぬ偽行者だな」
偽行者か、との一言には、武松をドキとさせたものがあったに相違ない。彼の手はほとんど無意識に戒刀の柄へ走った。
しかし、もっと迅かったのは、少年郎の姿だった。飛燕の業といってよい。武松の柄の手をばッと間髪に蹴上げていた。
「やったな、味を」
武行者は、肘を蹴られて、かえって相手の力量の程度をすぐ察知したかのようだった。戒刀にはおよばない。そして敢て、素手を示しつつ身をすすませた。ばッと格闘の卍がおこる。少年郎の巨体が大地へ叩きつけられ、刎ね起きたが、また投げられ、ついに武行者の下となって、その鉄拳の乱打にウもスもいわなくなった。