Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
それも陸上でなく、小舟に、水棹さし、江の岸を先廻りしていたのであった。
「やいっ、黒旋風とかいった奴、逃げるのか、ざまはねえな!」
「何ッ」
あっと思った瞬間だった。宋江にしろ戴宗にせよ、止める間などはありはしない。李逵は小舟の方へすっ飛んで行き、なにか二た言三言、悪罵を戦わせていたかとみるまに、
「うぬっ」
と、相手の舟のうちへ跳びこんでいた。
「よしきたっ」
待っていたとばかり、舟の中の男は両手をひろげた。
李逵の方でも、勝負腰を挑んでみせたが、何しろ一歩も近づけなかった。なぜなら艫の男はその両脚で巧妙に、
「それ。……どんぶりこ、どんぶりこ」
と口拍子に合せて、小舟を左右に大きく揺りうごかし、舟はまるで風濤に弄ばれる一葉の枯れ葉に似ていた。しかもぐんぐんとそのまに岸から揚子江のただ中へと離れて行くのである。
たまらなくなって、李逵は、
「やい魚屋。おれを恐れたな。男らしくもねえやつだ」
「ふん。言ッたね。さあ来い」
「そんな足拍子はやめて、てめえからかかって来い」
「こころえた。かたづけてやる」
言下に、男は片足立ちとなって、その体を、舟の外へ斜に描いて見せた。