Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
宋江は、はっと、ひれ伏した。その姿へ、もういちど、女神の声が、こう聞えた。
「いつかは、いずれまた、天上の玉帝さまの御園でお会いいたしましょう。くれぐれも、下界のご宿命を、つつがなくお果たし遊ばしますように」
……とたんに。
宋江は心のどこかで「あっ」といった。あたりは碧黒い波間にみえ、二匹の龍が、自分に戯れからんでくる。自分は恐くて、逃げもがき、もがくうちにゴク、ゴク、ゴクと水を呑んだ……。……と思ったせつなに、はっと眼をさましたのである。
すべて、南柯の一夢であったのだ。
「……ああ、夢だったのか」
ぐったりと現し身を見出したが、夢にしても不思議であった。黄紗にくるんだ三巻の天書は膝にのっている。またしかも、掌には三粒の棗の核子を握っていたし、口のうちにも、馥郁たる酒のかおりが残っていた。
「はてな。おう、夢にして夢にあらずだ。これこそ、霊験とか、また、よくいう夢想のお告げとかにちがいない。――すると自分の宿命は?」
彼は、もう何か、怖れるものもないように、そこの厨子を転び出て、廟の外に立ってみた。そしてそのとき初めて、廟の額に、金碧あざらかな四文字をはっきり見たのであった。