Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
「誰だ。おれを呼ぶのは」
「軍の張保さ。殺羊の張保さまだよ」
「やあ、どなたかと思ったら」
「いやな奴に会ったと言いたいような顔つきだな。この薊州の治安はおれの手で守られていながら、おれをよくいう奴は一人もねえ」
「どういたしまして。今日、処刑してきた悪党もお蔭さまで捕まったようなもんでさ。……ひとつ、そこらで御酒でも一献」
「うんにゃ、酒はいらねえ。銭で百貫、用立ててくれまいか」
「ご冗談を」
「せせら笑ったな、やいっ。てめえは元々土地者でもなく従兄弟にあたる先の奉行にくっ付いて来て、いつか今の奉行にも巧く取入っているだけのもんじゃねえか。軍のわれわれに、時折の挨拶ぐらいは当然だろ」
「てまえは、いくらでも、ご挨拶いたしたいが、なにせい、背中の一字がいうことをききません」
「背中の? ……背中の一字たあ何だ」
「これですよ」
楊雄がくるりと後ろを見せた。
猩々緋の服の上に、もう一重草色繻子の肩ぎぬを着ていたが、その背には「※」の一字が大紋みたいに金糸で刺繍してあるのであった。
「どうです、とっくりお目に入りましたかね」
依然、後ろ向きのまま、楊雄は薄ら黄ばンだ特有な皮膚に嘲侮の笑みをたたえて見せた。