Japanische Klassiker mit Furigana
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しん・すいこでん
新・水滸伝
吉川 英治
Lesen Sie 新・水滸伝 (しん・すいこでん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 684.899 Zeichen · 1374 Bildschirme
朝飯前の空き腹ではあり、ままよという気も手つだっていた。「――ごめんよ」とばかり入り込み、そ知らぬ顔をして、腹を拵え、道など訊いていたものだった。
そして。「どれ、出かけようか」と、立ちかけると、あいにく、入れちがいにぬうっと入って来た、片目“目ッぱ”の大男がある。その半顔から瞼まで引ッ吊れている恐い顔が、
「おや?」
と、楊雄の背を振り返ったと思うと、さらに声を大にして呼びとめた。
「おお! 薊州奉行所の牢役人。そうだ、そこへおいでなさるのは、たしかあだ名を病関索とおっしゃる牢頭さんじゃございませんか」
彼を呼びとめたのは、中山府の人で、片目の醜いところから、鬼臉児と異名のある、杜興という人間だった。
その杜興は、薊州の地に暴動があったとき捕まって、後日、免囚となってからも、しばらく楊雄の世話になっていたことがある。
楊雄はすっかり見忘れていたが、何やかや、話のうちに、やっと思い出し、
「ああ、あの暴動の時の一人か。こいつア妙な所で会ったもんだな」
「へえ、その鬼臉児の杜興ですよ。こっちは暴動仲間の一人。旦那は薊州の首斬り役人。もう病関索の刀のサビかと、素直にあきらめをつけていたら、なんと、免囚の後々まで、えらいお世話になりまして」