Japanische Klassiker mit Furigana
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せっしょうせき
日本の諸国物語
楠山 正雄
Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme
ました。
その夕方、おかあさんは娘をそばに呼び寄せて、やせこけた手で、娘の手をじっと握りながら、
「長い間、お前も親切に世話をしておくれだったが、わたしはもう長いことはありません。わたしが亡くなったら、お前、わたしの代わりになって、おとうさんをだいじにして上げて下さい。」
といいました。娘は何ということもできなくって、目にいっぱい涙をためたまま、うつむいていました。
その時おかあさんはまくらの下から鏡を出して、
「これはいつぞやおとうさんから頂いて、だいじにしている鏡です。この中にはわたしの魂が込めてあるのだから、この後いつでもおかあさんの顔が見たくなったら、出してごらんなさい。」
といって鏡を渡しました。
それから間もなく、おかあさんはとうとう息を引き取りました。あとに取り残された娘は、悲しい心をおさえて、おとうさんの手助けをして、おとむらいの世話をまめまめしくしました。
おとむらいがすんでしまうと、急にうちの中がひっそりして、じっとしていると、寂しさがこみ上げてくるようでした。娘はたまらなくなって、
「ああ、おかあさんに会いたい。」
と独り言をいいましたが、ふとあの時おかあさんにいわれたことを思い出して、鏡を出してみました。