Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せっしょうせき

日本の諸国物語

楠山 正雄

Lesen Sie 日本の諸国物語 (せっしょうせき) von 楠山 正雄 (くすやままさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.040 Zeichen · 158 Bildschirme

Aozora Bunko

二

するとその晩夜中過ぎになって、しっかりしめておいたはずのおもての戸がひとりでにすうっとあいて、だれかが入って来た様子です。

「はてな。」と思って、馬吉がこわごわはい出して、二階からそっとのぞいてみますと、折からさし込む月の光で、さっきの山姥が、台所のお釜の前に座って、独り言をいっているのが見えました。

「今日は久し振りでごちそうだったなあ。大根もうまかった。馬もうまかった。あれでうっかりしていて、馬吉に逃げられなければ、なおよかったのだけれど、残念なことをした。」

馬吉はそれを聞くと、ぶるぶるふるえ上がって、頭をおさえてちぢこまってしまいました。

しばらくすると、山姥は大きな口をあいて、大あくびをして、

「ああ、くたびれた。眠くなった。今夜はどこに寝ようかな、臼の中にしようか。釜の中にしようか。下に寝ようか。二階に寝ようか。そうだ、涼しいから二階に寝よう。」

といいました。

馬吉は「もうこんどこそは助からない。」と思いました。「山姥のやつ、おれが上にいるのを知って、上がってきて食べるつもりだろう。ああ、もうどうしようもない。観音さま、観音さま、どうぞお助け下さいまし。