Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 201.612 Zeichen · 405 Bildschirme
「どなたでございますか。どうも有難うございます」と、松吉の背中から卸された男は礼を云った。
挨拶が出来るほどならば大したことはあるまいと安心して、半七は自身番の男どもと一緒に彼を介抱すると、男は熊に殴かれたために左の腕を傷めているらしかったが、そのほかにひどい怪我もなかった。自身番から近所の医者を迎えに行っている間に、かれは自分の身許を明かした。彼は加賀生まれの勘蔵というもので、三年前から田町の車湯という湯屋の三助をしていると云った。
「家は焼けたのかえ」と、半七は訊いた。
「さあ、たしかには判りませんが、なにしろ火の粉が一面にかぶって来たので、あわてて逃げ出してまいりました」
「熊に出っくわした娘は主人の娘かえ」
「いいえ。一軒隔いて隣りの備前屋という生薬屋の娘さんでございます」と、勘蔵は答えた。「わたくしが人込みのなかを逃げて来る途中、丁度あすこで出合ったもんですから、前後の考えもなしに飛び出して、いやどうもあぶない目に逢いましてございます」
「だが、いいことをした」と、半七は褒めるように云った。「お前だからまあその位のことで済んだが、あんな孱細い娘っ子が荒熊に取っ捉まって見ねえ。