Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
そこの若頭梁がよく出入りしていたっけよ」男はこう云っておせんのほうを眺め、ふと唇を歪めて妙な笑いかたをした、「――そこに抱いているのはおかみさんの子供かね」
「いいえ、このひとのなんでしょう、ひきとったときもう抱いてたんですよ」
「へええ、やっぱりね」
「この子の親を知ってるんですか」
権二郎はにやりと笑った。それからおせんの顔と子供を見比べ、肩をしゃくって嘲るようにこう云った。
「いま云った若頭梁に聞けあわかる、生きてさえいりゃあね」
そして自分には関係がないとでも云うように、よそよそしい顔をして去っていった。お常はそのうしろ姿を見やりながらなんていやみったらしい人だろうと舌打ちをした。
「おせんちゃんあの男を覚えていないのかえ」
「いいえ」おせんは硬ばった顔で、まだしっかりと、子供を抱いていた、「――いいえ知らないわ、あたし、あんなひと、誰かしら、幸坊を取りに来たんじゃないかしら」
「そんなんじゃないよ、もとあんたの近所にいて知ってるんだってさ、それならそれでもう少し挨拶のしようがあろうじゃないか、歯に衣をきせたようなことを云って、ひとをばかにしてるよ、こんど会っても知らん顔をしておいで」