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Japanische Klassiker mit Furigana

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やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme

Aozora Bunko

添寝をして片乳を口に含ませ片乳を握らせていると、ふしぎな一種の感情がわいてきて、思わず子供を抱きしめたり頬を吸ってやりたくなることがある、からだぜんたいが、あやされるような重さ、こころよいけだるさに包まれ、どこか深い空洞へでも落ちてゆく陶酔と、なんのわずらいも心配もない安定した気持とを感ずるのであった。

――三日の夜は幸太郎の寝つきが悪く、いくたびも乳をつよく吸っておせんを驚かした。十時ころにいちど用を達させ、それから少しうとうとしたと思うと、痛いほど激しくまた乳を吸われた。からだじゅうの神経がひきつるような感覚におそわれ、おせんは思わず声をあげて乳を離させた。

「いやよ幸ちゃん、吃驚するじゃないの、どうして今夜はそうおとなしくないの」

「ああちゃん、ばぶばぶ、いやあよ」

「なあに、なにがいやなの」

こう云って頭をもたげたとき、すぐ表のところで水の中を人の歩く音が聞えた。まだ眠けはさめきっていなかったが、おせんはただごとでないと思ってとび起き、

「おばさん、おばさんたいへんよ」

と、叫びだした。

それからあとの出来事は記憶が慥かでない。勘十がまず表へ見に出ようとして、「これあいけねえ土間がもういっぺえだ」