Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
どこかへ避難していていまに帰るものと信じていた。それがいよいよ帰らないことがわかり、それでは死躰をというじぶんには、川筋のどこでもすでにそういうものの、始末がついたあとであった。そういうわけで、世話になりながら死後のとむらいもせずにいたのは、申しわけのないことであるけれど、じつを云うと自分もまだ本当にお二人が死んでしまったとは思えない、いつか元気な姿で帰ってみえるような気がしてならないのである。――こういう意味のことを云って涙を拭いた。松造は蓬臭い莨を吸いながら頷きもせずに聞いていた、話したことがわかったのかどうか、まるっきり別のことを考えてでもいるように、硬い表情で黙って莨ばかり吸っていた。
松造は泊っていった。千住に舟が着けてあって、朝早くそれに乗って帰るということだった。いまにも、家のことを云われはしないかと、そればかり胸に閊えていたのだが、朝飯を済ませてもそのことに触れず、干しておいた草鞋と足袋をおせんに取らせ、それを穿いて古ぼけた財布を出して幾枚かの銭を置いた。
「これで子供に飴でも買ってやるがいい」
「まあそんなことは、いいえどうかそれは」