Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
その夜は蚊遣りを焚きつぎながら、狭いところへごたごたと寝て、明くる朝は日蔭のあるうちにと早くでかけた。友助夫妻にも案内をしたのだが、これは欠かせない用があるからと、なにがしかの香典を包んで断わりが来ていた。まだおせんのことにこだわっているのであろう、それにしてもあんなに親しかった古い友達の法会なのにと、おせんは亡くなった人たちに済まなく思ったが、そこに気がついたかどうか、松造はただ「それではあとで送り膳でも届ければいい」と云っただけであった。
両国橋の脇から舟に乗っていったが、明日は回向院の川施餓鬼があるそうで、たて川筋はどこでも精霊舟を作るのに賑わっていた。舟というものに乗ったことのない幸太郎は、初めのうちさも恐ろしそうで、固くおせんに抱きついたままだったが、暫くするうちに馴れたとみえ、しきりに水を覗いたり、移り変る両岸の風物に興じたりしはじめた。
「こうぼ、あんよしないよ、こうぼ、えんちゃよ、おうち動くよ、おうちみんな動くよ」
自分が坐っているのに家並の移動してみえるのがふしぎらしい、松造は珍しくにっと笑った。母親のそばに、きちんと坐っていた、お鶴という女の子は、それを聞いてそっと母親のほうへ口を寄せ、