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Japanische Klassiker mit Furigana

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やなぎばしものがたり

柳橋物語

山本 周五郎

Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme

Aozora Bunko

――庄吉が去ってしまってから、いやいや、もっとはっきり思いだせば大阪から彼の手紙が来てから、その手紙を読んでから初めて自分は、彼を愛しだしたのである。どんなことがあっても待っていようと決心したのもそれからだ、彼は幸太が云い寄るに違いないと云い遺した、だからおせんはどこまでも幸太を拒みとおした。杉田屋へも義理の悪いことをし、幸太の親切も断わり、病気で倒れたお祖父さんを抱えて、乏しい手内職で生きていたではないか。……もちろんそれは彼を愛していたからである、庄吉が自分を愛し自分が庄吉を愛していると信じたからである、けれど庄吉は本当に自分を愛していたのだろうか、たまたま悪い条件が重なって、解けにくい誤解がうまれたのは事実だ、しかしそれはどこまでも誤解である、彼の疑うようなことはまったく無かった、自分は待って呉れと云ったではないか、いつかきっと本当のことがわかる筈だ、待っていますよと云ったではないか。――だが庄吉は待って呉れなかった、眼と鼻のさきにいて結婚した、りっぱな頭梁の婿になり可愛い娘を嫁にした、それは同時に、おせんがいたずら女であることを証明する結果になるのに、……それでも彼はおせんを愛していたのだろうか、それがおせんに、あれほどの代償を払わせた愛だったのだろうか。