Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
おせんの声は激しい嗚咽のためにとぎれた、それからやや暫くして次のように続けられた、
「――たったひと言、あの河岸の柳の下で聞いたたったひと言のために、なにもかもが違ってしまった、なにもかもが取返しのつかないほうへ曲ってしまったのよ、あなたは死んでしまい、おせんはこんなみじめなことになって、そうして初めてわかった、なにが真実だったかということ、ほんとうの愛がどんなものかということが、……幸太さん、それでもあたしうれしい、あなたにはお詫びのしようもないけれど、あれほど深く、幸太さんに愛して貰ったということ、それがこんなにはっきりよくわかったことがうれしいの、――あたしうれしいのよ、幸太さん、いま考えるとあの晩ひろった子に幸太郎という名がついたのもふしぎではなかったのね、あの子は幸太さんとおせんの子だわ、あたし今から誰にでも云ってやってよ、おせんは幸太さんと夫婦だったって、この子は幸太さんとあたしの子だって、……怒らないわねえ、幸太さん」
そこにその人がいるかのように、おせんはこう云いながらまたひとしきり泣いた。眼のまえの仄明るい川波の中から、幸太がうかびあがってこっちへ来るようだ、ぶっきらぼうなようすで、しかしかなしいほど愛情のこもった眼で、おせんをみつめながら、――そうだ、幸太とおせんとは今こそ結びつくこと