Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
そういう話であった。……おせんはいつかの法事のときを思いだした、おいくという人の冷たいそっけないようすや、女の子の寂しそうな顔つきには、そういう蔭の理由があったのである。誰が悪いのでもなく不運なめぐりあわせだろうが、世の中にちょうど善いということは少ないものだと、いっとき溜息をつくような気持であった。
店をはじめた明くる年の春の彼岸に、宗念寺へ墓まいりにいったとき、別に経料を納めてお祖父さんと幸太の戒名をつけて貰った。そして位牌を二つ拵え、幸太のには彼の戒名に並べて自分の俗名を朱で入れた。自分のも戒名にすればよいのだが、いっそおせんと入れるほうが情が届くように思えたからである。――こうして時が経っていった。変った事といえば、飛脚屋の権二郎が酒のうえの喧嘩で人を斬り、牢へはいって一年ばかりするうちに牢死したということ、友助夫婦が梶平のあと押しで、本所のほうへ小さな材木屋を始めたこと、そして浅草橋の川下に新しく橋が架けられ、柳橋と名付けられたことくらいのものであろう。柳橋はあの火事のあとで地元から願い出ていたのが、ようやく許しが下って出来たわけで、渡り初めから三日のあいだ祭りのような祝いが催された。