Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
「杉田屋のおかみさんに悪気はなかったろう、けれども聞くほうにはずいぶん辛い言葉だった、というのは、……おまえのおっ母さんという人は、初め杉田屋の頭梁のところへ嫁にゆく筈だった。けれどおっ母さんは茂七が好きだったので、いったん親たちのきめた縁談を断わって茂七といっしょになった」源六はそこでほっと太息をついた、「……その頃はうちでも下職の二人くらいは使っていた。さして余りもしないが不自由な思いをするほどでもなく、好きでいっしょになった夫婦にはまず頃合の暮しだった、やがて頭梁のとこへもお蝶さんが来て、表面は茂七と巳之さんのつきあいも元どおりになったが、根からさっぱりしたわけではなかったようだ、そして間もなく茂七に悪い運が向いてきた、下職の一人が剃刀を使いそくなって、酔っていたんだな、客の顔に傷をつけてしまった、然もそれがふりの客だったし、傷はかなり大きかった。茂七はなんども町役に呼ばれたり、法外な治療代を取られたりした、くさっていたところへ、こんどは別の下職が箪笥の中の物や少しばかり貯めた金を掠って逃げた……おまえが生れたのはそのじぶんだったが、もともとあまり達者でもなかったおまえのおっ母さんは、お産をしたあとずっと弱くなって、月のうち半分寝たり起きたりしているようになった、客に傷をさせてから店もさびれだし、