Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
どうせいつかはこうなる。おれか幸太か、どっちか一人はこの土地を出なくちゃあならないんだ、そして幸太が頭梁の養子ときまったからには、出てゆくのはおれとわかりきっていたんだ」
「でもどうして、どうして喧嘩になんぞなったの、幸さんとどんなことがあったの」
「今朝のことなんかたいしたことじゃあない、ただ喧嘩のきっかけがついたというだけで、はっきり云ってしまえば……」庄吉はそう云いかけてふと口を噤んだ、それから臆病そうな、けれどくいいるような烈しい眼つきで、おせんの顔をじっと見つめた、「……いやそれを云うまえに訊いて置きたいことがあるんだ、おせんちゃん、おれは明日、上方へ旅に出るよ」
「…………」
おせんはこくっと生唾をのんだ。
「江戸にいれば頭梁の家で幸太の下風につくか、とびだしたところで、一生叩き大工で終るよりほかはない、それより上方へいって、みっちり稼いで、頭梁の株を買うだけの金をつかんで帰って来る、知らない土地ならばみえも外聞もなく稼げるし、あっちは諸式がずっと安いそうだから、早ければ三年、おそくっても五年ぐらいで帰れるだろう、おせんちゃん、おまえそれまで待っていて呉れるか」