Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
「もうたくさんよお祖父さん、そんなに気を疲らせては病気に悪いわ、過ぎたことは過ぎたことじゃないの、それよりこれから先のことを考えましょう、あせらずゆっくり養生すれば、お祖父さんだってまた仕事ができるようになってよ、二人で稼げば暮しだって楽になるし、ときにはいっしょに見物あるきだってできるわ、今年は忘れずに染井の菊を見にいきましょうよ」
「ああそうしよう、おせん、見せる見せるといって、ずいぶん前から約束ばかりしていたからな、そうだ今年こそきっと見にいこう」
けれども菊見にはゆけなかった。悪くはならないが、左半身がいつまでもはっきりせず、とうてい遠あるきなどできなかったから、……利くという薬はできる限り試してみた、加持も祈祷もして貰った、「夏に出た中風は霜がくれば治るものだ」そう云う人が多いので、おせんも源六もひそかにそれを楽しみにしていたが、霜月がきてもそんなようすはなく、やがて十一月も終りに近くなった。
その月は二十二日の夜にひどい地震があって、小田原から房州へかけてかなり被害があり、江戸でも家や土蔵が倒れたり崖が崩れたりした。深川の三十三間堂が倒壊し、大川は一夜に四たびも潮がさしひきした。