Japanische Klassiker mit Furigana
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やなぎばしものがたり
柳橋物語
山本 周五郎
Lesen Sie 柳橋物語 (やなぎばしものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.300 Zeichen · 202 Bildschirme
あたりに置いてある荷物はみなふすふすと煙をあげ、それが居竦んでいる人々を焦がした。積んである石も、地面も、触っていられないほど熱くなり、水を掛けるとあらゆる物から湯気が立った。そうだ、おせんは初めて気がついた。彼女はいつか幸太の刺子半纏を着せられ、頭巾を冠っていた。その上から、幸太が河の水を汲みあげては掛けていて呉れたのだ。
「苦しくなったら地面へ俯伏すんだ」と幸太がどなった、「……地面へ鼻を押しつけて、そこのいきを吸うんだ、火の気も煙も地面まではいかないから、もうひとがまんだ」
おせんはとつぜん中腰になり、すぐ脇に積んである石の蔭を覗いた。さっきから赤子の泣くこえが耳についていた、ひとところで、少しも動かずに、たまぎるような声で泣いている、あんまりひとところで泣き続けるので、堪らなくなって覗いてみた、石の蔭には大きな包が二つあり、その上に誕生には間のありそうな赤子が、ねんねこにくるまって泣いていた、まわりには誰もいない、ねんねこも包も、ところどころ焦げて煙をだしている、おせんは衝動的に赤子を抱きあげ、刺子半纏のふところへ入れて元の場所へ戻った。
「ばかなことをするな」