Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
犬というよりも動物園にいる狒々そっくりの相貌であった。私と妻とに犬の流行廃りというものについて何らの知識の持ち合せもなかったとしたならば、たとえ千ペセタでも、おそらくは無代でくれてやると言われてもこんな醜い恰好をした犬なぞは連れて帰らなかったであろうと思われるほど、まったくそれは妙な顔と姿とをした犬なのであった。しかし犬そのものについて深い知識は持ち合せなくとも、私たちには富豪としての犬の流行廃りというものにある程度までの経験を持っていた。その経験が私たちをしてこれだけの顔と恰好をした犬ならば、確かに今年あたりからの愛玩犬の流行になるかも知れないと考えさせていたし、同時にまたこれだけの不思議な恰好をした犬ならばオヤジの言う値段が妥当であるかないかは知らないが、尠なくとも十万ペセタ以上の値段は当然であろうと考えさせていた。
そうして私は言われるがままに十九万ペセタの小切手を書き与えて、檻から出したこの汚い犬を運転手に抱えさせて、また車をラムブラ・デル・セントラ大街の方へと走らせて来たのであったが、しかも今でも覚えているのは、この犬屋のオヤジのあくまでも変った商売ぶりであった。