Japanische Klassiker mit Furigana
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いんじゅうトリステサ
橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 人獣妖婚譚篇 (いんじゅうトリステサ) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.788 Zeichen · 299 Bildschirme
他の犬屋のように、二匹も三匹も見せて好いたのを選び取らせるというのではなく、たった一匹だけを見せて、それを引き取らせるさえ、普通の犬屋から見れば桁外れであったが――もっとも、それは外の犬を私たちが買いに行ったのではなく、その犬だけを特別に目指して行ったのであり、そしてその犬が一匹しか犬屋の手許に残っていなかったとすれば、当然のことであったかは知らないが、それにも増してこの犬商の桁外れであったのは、こうして巨費を払って犬を買い取っても別段商人らしい愉快そうな表情を見せるでもなく、いいや、愉快そうな表情を見せるどころか! むしろその反対にかえって迷惑そうな渋面を作って、「手前共でも大切なものをお売りするんですからな。御迷惑でも一応お邸も伺っておきませんとな」と、当然その権利があると言わぬばかりの顔をして、大きな帳簿を持ち出して来た。
「奥さん、貴方が御自分でお飼い下さるんですな? そして貴方がその御本人でいらっしゃるんですな?」と、くどくも念を押した挙句に、根掘り葉掘り私たちの住所、姓名それに職業までも自署させたには一驚したのであった。高が犬の仔一匹金を出して買うのにまるで警察へ出頭して※品の払い下げでも受けるような騒ぎであった。