Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
「娘は……御覧のように……御覧のように……」老エフィゲニウスは烈しく咳込んで言葉は途中で消えてしまいました。
たださえ難しいこの国の言葉で烈しく咳込まれて、我々に聞き取り得たのは、わずかにこの数語に過ぎませんでした。そして我々が怪訝そうに一足踏み込んで、垂れ幕の中を覗き込もうとした途端、「おや!」と、一番先頭を切っていたクルーゲル中尉がたちまち驚愕の叫びを挙げました。
「お! 姫君が! ……姫君が!」
「御覧のように、娘は亡くなってしまいました」と中尉の叫びを圧して、老エフィゲニウスの嗄れた声が、咳込みながらも、明瞭に我々の耳を驚かしてきました。
「わざわざお呼び立ていたして失礼ですが……どうぞ死顔を見てやっていただきたい。娘はこのとおり亡くなってしまいましたのです」ぽろぽろ大粒の涙が老いたる頬を伝わりました。
「今朝ほど息を引き取りましたのです」
「…………」あまりの驚きに、我々は口を開くこともできませんでした。
「昨夜のうちに毒を飲みまして……毒を飲みまして……」と抑えていた悲しみに堪えられなかったとみえて、老エフィゲニウスは、侍女の差し出した手巾で顔を掩いながら烈しい嗚咽を洩らしているのであります。