Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
「それに、今考えてみると、その時の侍女というのが、どうもわたしには曲者だと思われますね」
と、未亡人は一層声を潜ませた。
「殿下が、アンネマリー姫と御婚約なすっていらっしゃりながら、かれこれ一年近くもなるのにまだ、御結婚の御予定がないと新聞なぞで大分騒いでいるのは、あなたも御存知でしょうね」
「存じております」
と頷くのを見ると、未亡人の眼がしたり顔に瞬いた。
「そうでしょう? ですからわたしは、あの時の侍女こそ曲者だと踏んでますね。何かそこには曰く因縁があるとね。高い声ではいえませんが、もしかするとあの侍女こそ、殿下の寵姫ではなかろうかと、考えております」
重い帷が微風を受けてそよいでいる。
「たった一度手に取られただけで、あんな偽物をお作りになるということは、常識では肯えぬことですが、世上の噂に従えば、殊更に宝石ばかりをお狙いになるには、何かそれ相応にその方面の御才能が、おありになるのでしょう。……このことはあなたに、大変な参考になりはしませんか? いかがです、アイネス嬢」
しかも、そればかりでない、こういうこともつけ加えた。
「昨年の十月、グリネ・ビョルゲ邸で、頸飾りと腕環の盗難事件のあったことも御存知でしょう?」