Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
オールセン外務次官の弟が、ボストンにいて死んだというのも、ほんものの次官が聞いたら眼を廻すであろうが、伯爵夫人の父親が商人で、巴里に住んでいたというのも、眉唾ものであろう。アイネス嬢の洗い立てたところでは、この女はナンシー郊外アヴィアン村に生まれて、八つの年にリヨン市に移っている。父親は村の錺屋、商売に失敗して村にいた堪れなくて、リヨン市では洗濯屋をしてたはずである。食うや食わずの貧しさから、この女は十四の年から踊り子に出た。子供の時から手癖が悪くて、踊り子の時代朋輩の物を盗んで、二回もリヨン市の警察に挙げられている。
十六の年には、賭博師の情夫を持って、男に唆されてマルセーユに出奔して、曖昧屋の前借りを踏み倒して訴えられている。そして男に棄てられた十八の年に、その頃リヨン大学の学生だったステーンセン伯爵に見初められて、ズルズルに伯爵家に入り込んだという、堂々たる経歴の持主になっているのであったが、その前借り踏み倒しの伯爵夫人と、氏名詐称のオールセン外務次官令嬢の探偵とは、どのくらいの間も狐と狸の化かし合い問答を続けていたことであろうか?
「いかがです、お一つ、召し上りになりません?」