Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
ブレーメンへ行くと見せかけて通し切符を買っておいて、実際はハンメルスフェーヘンへ行くとならば、汽車は西独の国境駅フレンスブルグで乗り換えなければならぬ。してみれば嬢の仕事は、そのフレンスブルグの駅まで余すところ四時間ばかりの間に片付けなければならぬ。雑誌に眼を注ぎながらも、網棚の上のボール函包みが、ようやく焦慮の種になってきた。
その焦慮を読み取ろうとするかのように、何気ない体を装いつつ夫人のほほ笑んだ瞳が時々ちらっと嬢の面を掠めてくる。ハハアと女探偵には、頷くものがあった。ブレーメンへ行くともハンメルスフェーヘンへ行くとも、まだこの女の行く先はわからぬが、自分が探偵であるかどうかを探るために、偽電をまずハンメルスフェーヘンへ打ってみて、人の顔色を読もうとしているのだな。そしてさっきから時々、車室の外へ出て行くのは、留守中の自分の挙動を見ようとしているのだな。それならば焦燥を鵜の毛で突いたほどにも見せるということは、自分自らを探偵であると告白するようなものであった。そのアイネス嬢の心を知ってか知らずにか、夫人は相変らず優雅な挙措を作りながら、時々にこやかに話しかけてくる。