Japanische Klassiker mit Furigana
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ウニデスちょうりゅうのかなた
橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 幻想・伝奇小説篇 (ウニデスちょうりゅうのかなた) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.361 Zeichen · 483 Bildschirme
そして二台の自動車は半狂乱の私を乗せて私の家のある郊外の方へ向ってひた走り出したのであったが、横浜の市長などを務めた社会的地位が私の大家だなぞと聞かれようなら、読者諸君は私がどんな宏大な邸宅に住んでいるかと眼を廻されるかも知れんが、ヨケイナ心配はせんでおいとくれ、市長の貸家だとて必ずしも、小さな家がないとは限らんのだから。その一つに私は塒を定めて時々家賃を二月隔きに払ったりしてこの老市長を面食らわせているのであったが、市長を務めたからなんてそう驚くには当りません。市長になる前にはどこかの県知事も務めたそうであったが、見るからに詰らん好々爺で年がら年中朝顔と菊の栽培でばかり苦労していた。つい私の家から一町ばかり先に家だけはなるほど宏壮な邸を構えていたが、時々「どうじゃな! これはよくできたと思うんじゃが一つ飾ってみといて下さらんか! 飽きればまた取り換えて上げるじゃで!」と秘蔵娘でも貸してくれるように汚ねえ野良着でヒョコヒョコと植木鉢を提げて裏口からはいって来る。こっちは大迷惑な話で眺めたくもねえ植木鉢を後生大事に縁側に飾って枯らすわけにもゆかなければうっかり腕白どもにへし折らせるわけにもならず、まことに厄介千万なことどもであった。